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2025/03/29

院長の気まぐれ投稿 vol.5「狂犬病予防について」

まだまだ天気が安定せず、暖かくなったり寒くなったりで身体が追いつかないですね。皆様、十分体調にお気を付けください。


さて、もうすぐ3月も終わろうかという時期になってきました。ワンちゃんをお飼いの方々はフィラリア症予防や狂犬病予防に動物病院を受診する機会が多くなると思います。


日本では狂犬病予防法という法律で狂犬病予防のワクチン接種が義務付けられているため、ワンちゃんをお飼いの方々は動物病院を受診するか、集合注射会場に行き、ワンちゃんに注射を打ってもらうことになっています。もう何十年もそうしてきていますから、当たり前の事になってしまっていて、狂犬病というものがどの様なものかをご存じない方もいらっしゃると思います。今の、安心して犬と暮らせる社会は諸先輩方のご努力によるものです。私も、獣医師として、皆様に今一度、狂犬病についてお話をさせてください。


狂犬病とは狂犬病ウィルスによって引き起こされる致死率ほぼ100%の感染症です。WHOの報告によると世界で年間およそ59,000人の方々が狂犬病により死亡しており、うちアジア、アフリカ地域での死亡者数が56,000人となっています。通常、感染動物に咬まれることによって感染をしますが、人から人への感染は起こらないとされています。感染した場合、数週間から数カ月の潜伏期間を経て、発症。非常に強い神経症状を起こし、死に至ります。犬での一般的な症状としては、涎が垂れはじめ、数日の間に吠える、噛みつくなどの興奮状態となり、全身の麻痺を起こし、昏睡状態となり死亡します。


日本においては、犬、人で最後に報告されている狂犬病発生は昭和31年(昭和32年に猫で発生)。私の父がこの頃12歳でしたから、そう遠くない過去に思えます。父に話を聞いてみましたが、「子供の頃は放し飼いの犬が怖かった記憶がある。」と言っていました。それが狂犬病の怖さだったのかはわかりませんが、そういう社会だったのかなと思います。


狂犬病予防法が施工されたのが昭和25年。わずか(と捉えるかは人それぞれですが)7年の間に狂犬病の撲滅に成功した日本は、いまだに清浄国(狂犬病の発生がないとみなされている国)を維持しています。世界的にみると殆どの国で発生しており、いつ国内に狂犬病が入ってきてもおかしくない状況です。近年、実際に、フィリピンで感染した犬に咬まれ、日本国内で発症した方が死亡されているケースが起こっています。2013年にはそれまで清浄国として認められていた台湾で狂犬病が確認され清浄国から外されています。


先にも書きましたが、先人たちの努力で今のありがたい社会が作られていることを決して忘れることなく、またいつまでも狂犬病というものが私たちにとって、ある意味「疎遠な」病気であるよう、飼い主様には狂犬病ワクチン接種を忘れずに行っていただきたいと思います。もちろん持病や高齢であることが原因となり接種できない子もいますので、その場合は獣医師までご相談ください。


長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


氷川町動物病院

院長 三浦広嗣